こんにちは。2023年に入って凄まじいスピードでAIが進化しています。もう我々の生活、少なくとも仕事には深く入り込んできていますよね。しかしそんな状況の中、むしろITやプログラミングを学ぶ価値は高まっているなと感じています。
もしあなたがエンジニアとは程遠い職業だったり、必ずしもエンジニアを目指していないとしてもです。
そう考える理由を解説していきます。今こそがITを学び始める良いチャンスかもしれませんよ。
今こそがITを学び始める良いチャンスである理由
AIを効果的、効率的に使えるようになるから
まず第一にITの知識や経験があった方が確実にAIを効果的に使えます。今のところAIはChatGPTやBing、Bardに代表されるように対話形式のものが主流です。テキストでAIに指示を与える使い方がほとんどなわけですが、
- 何をして欲しいかを要件にまとめ、細かい手順に分解して指示を出す(要件定義)
- AI、ひいてはコンピューターが得意な指示内容にまとめる
という2点が重要だと考えています。要件定義自体はIT業界に特有のものではないでしょうが、相手はAIですから具体的な指示内容はコンピューターにやってもらえるものに落とし込む必要があります。
また、出力結果もちょっと工夫すると使いやすくなります。例えばデータ形式には各種ツールで使いやすい形式がいくつかあったりします。代表的なのはCSVでしょうか。以下のように各データをカンマで区切った形式で、見たまんま行と列を表現しています。
名前,数学,英語,科学
田中,90,85,95
佐藤,80,75,85
鈴木,85,90,80
このCSVはExcelやスプレッドシートで開くことができます。データを分析した後この形式にすると取り回しが良いわけですね。
さて、ITの知識があると例えば次のようなプロンプトの違いが生まれると言えます。
このように、ITの知識を持っているとAIに指示を出す際の工夫の仕方に幅が出ます。業務効率化を考えると後者の方が望ましいと言えますからぜひITを学んでみて欲しいです。
エンジニアを目指さなくても学ぶ価値が出てきたから
今まではIT、特にプログラミングの知識はエンジニアになるつもりがなければそこまで必要性はありませんでした。逆にエンジニアを目指すなら一定レベルの知識をつけるために時間や労力をかなり費やす必要がありました。具体的には「実際にプログラ厶を書いて何かしら役に立つものが作れる」くらいにならないと意味が薄かったと言えます。
しかし前項で説明した通り、概念や少しの具体的な知識を持つことでAIを効率的に利用できるようになります。今後AIがあらゆる場面で利用されていくのは想像に難くありません。
つまりこれまではエンジニアになれるくらいの勉強をしないとなかなか知識を活かせなかったところから、AIのおかげでそこまで時間をかけなくても事業・ビジネスにインパクトを与えられる人材になれるということです。
イメージとしては今までの事例で言うとExcelで効率化をしたいと思いVBAや関数を勉強する、みたいなことでしょうか。これのインパクトが大きい版と考えていいでしょう。
実はAIに代替されにくい能力だから
これは僕も今年のAI動向を見て感じたことなんですが、プログラミングのような厳密性の高い領域はAIに代替されにくいのではないかということです。
もちろんAIもコードを書いたりアプリケーションを作ることはできます。しかしそれをそのまま世に公開していいかどうか、そのまま使っていいかどうかは全くの別です。1行1文字でも違っていたら動かないプログラムの世界においてこれは見逃せません。
これはおそらくIT業界に限らないことで、例えば営業資料を作るとなった時に記載される数字や情報に間違いが無いかをチェックすることは求められるはずです。経理関係も一円のズレが許されない世界ですから、ここもそう簡単には代替されないだろうと読んでいます。
逆に現実でもすでに起きているように、絵やイラスト、記事のライティングなどのようなある程度揺らぎが認められる領域は一気に代替が進んでいます。いわゆる生成AI、ジェネレーティブAIというものです。
皆さんもゲームの広告でこんなのを見たことはありませんか?
まあ、顔の造形などを見てもAIで生成されたものであろうことは分かりますね。笑
記事のライティングにおいても、BuzzFeedやCNETなどの大手メディアが記事制作の補助にAIを採用している事例が増えてきています。CNETの場合は書かせた記事が間違いだらけだったというお粗末なものでしたが。
BuzzFeed:https://news.yahoo.co.jp/byline/kazuhirotaira/20230201-00335254
CNET:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2301/27/news109.html
いずれにせよ、多少揺らぎがあっても良い領域はどんどんAIの代替が進むと思われます。あるいは、結局のところ専門性よりも決裁者の納得感が優先されてしまう状況においてもAIの生成物が採用される方向に進むと考えています。
逆に、少なくとも直近数年〜十数年において人間は厳密性を担保することに関しては負けないだろうと言えます。
そういう訓練のためにもIT、プログラミングの世界に触れておくことは一定の効果があるのではないでしょうか。
ITを学ぶのにおすすめな本
では何を学べば良いかという話ですが、やはり概念的なことや基本的な仕組みから学ぶのが良いでしょう。エンジニアを目指すということであればコードを書く部分に近い話(各言語やフレームワーク)から学ぶという選択肢もありますが、AIを効果的に使うという観点ではそれらの優先度は下がると考えています。もちろん具体的なコードを学んだり実際にプロダクトを開発した経験があるならより良いとは思います。
プログラミングを学ぶ上で教材の選び方については過去にも書いています(https://itokoba.com/archives/3634)が、概念を学ぶにはやはり書籍が一番良いかなということでいくつか紹介します。
コンピュータはなぜ動くのか
プログラムはなぜ動くのか
ネットワークはなぜつながるのか
これらはIT・プログラミングの超基礎をまとめた書籍で、3冊セットで効果を発揮するシリーズですね。毎回何かにつけて紹介している気がしますが、それだけおすすめのシリーズです。
個人的には初めてITに触れるならとりあえず買っとけと思うくらいにはおすすめなので、ぜひ手元に揃えていてください。ちなみにこのシリーズはすでにプログラミングを学んでいる人にも超おすすめで、表がわかったら今度は裏の仕組みを理解することで本物のエンジニアに一歩近づきます。
ITに初めて触れる人もそうでない人も、ITの根本となるコンピュータ、プログラム、ネットワークという3つの仕組みをぜひ理解しておきましょう。
これからのAI社会、基礎を固めること、本質を理解することが先決です。
コメント