視覚障害者にとってのWebはこんなに使いづらい

Web制作を学ぶ

こんにちは。最近Twitterでよくアクセシビリティについて論争が行われるのを見かけることが多くなったように思います。

しかし、いつもWAI-ARIAのroleがどうとかあれが正しくてこれが正しくないとかコード上の話はされども当事者にとって使いやすいかどうかという話が全くされていないことに違和感を覚えています。

こういう「社会的にやったほうが良いこと」は当事者が置いてきぼりで机上の空論が膨れ上がって行ったり、自分の評価を上げるためのツールとして消費されてしまうことはありがちなように思います。

そういうわけで、今回は実際に視覚障害者の方に色々お話を聞いてみました。やはり当事者に聞いてみるといろんな気づき、学びがありましたのでここにまとめてみます。

もちろんすでにそういったインタビューを実施してきた方やそれをまとめた記事など、探せば他にもあると思いますのでご存じの方はぜひコメントで教えてください。

そもそも耳で聞いた文章を頭に入れるのが割としんどい

これはかなり根本的な問題で、いくら読み上げられようが頭に入らなかったらしょうがないですね。

個人差はあるでしょうが、皆さんも耳から入ってきた情報って結構扱いにくくないですか?Web以外に目を向けると、視覚障害者の方が日常的に使う文字といえば点字があります。聴覚ではなく触覚を使っていますが、普及率を考えるとこちらの方がユーザビリティが高いという事でしょうか。

とはいえ、じゃあWebにおける代替案があるのかという話でもあるので難しいところですね。

文字サイズは大きければいいわけではない

視覚障害と一言に言っても見えない度合いや種類は色々あるわけです。弱視の人からすると文字は大きい方が読みやすいのですが、緑内障など視野が狭い人にとっては文字が大きいと一度に目に入る情報が減ってむしろ読みにくくなるそうです。

これは全く気づきませんでした。

ちょっとでも見えるなら見た方がいい

これは視覚障害の度合いにもよるのですが、やはり見えるなら見た方が良いと感じる方が多いようです。今回のインタビューでもそういう意見がありましたが、それ以上に自分の親戚の弱視の方が「スマホに限界まで目を近づけて利用していた」のを実際に見て気が付きました。

ただし人によってルーペを使って1文字づつゆっくり読むスタイルの方もいらっしゃって、そういう方にとっては長文が辛く読み上げツールを使うことが多いそうです。

商品情報によくある検索用の文字が本当に邪魔

要するにこれです(下画像)。タイトル部分に商品名以外の「父の日」や「ギフト」などの文字が入っていますね。

読み上げツールを使っている場合、このように余計な情報が多いと結局何がメインの情報なのか非常に分かりにくいそうです。まあ目で見たって邪魔なのは感じますからね。

PDFは読み上げられないことがある

PDFファイルの作りにもよりますが、文字情報が失われていると読み上げられません。書き出した後のPファイルを見て文字情報が失われていないか必ず確かめましょう。

読み上げツール側の日本語対応の遅れ、音質の悪さが困る

これは日本語特有の問題ですが、どうしても英語に比べてツール側の対応が遅れ気味になっているようです。せっかくデバイス側は読み上げツールを搭載していても使えないケースは時々あるそうです。

また、シンプルに音質が悪くて何を言っているかよくわからないこともあるとか。

適切な「読み」の難しさ

これも日本語特有でしょう、音読みや訓読みをツールが正しく判断するのがかなり難しいようです。

例えば「白杖(はくじょう)」を「白杖(しろつえ)」と読んでしまうようなケースがあり文脈でどうにか判断しているそうです。音だけでこれを判断し切るのは大変そうですね。

画像による認証方法は突破不可能

「画像による認証」とはこれのことです。

これはもうほとんどお手上げ状態とのことで、この認証が出てきたら諦めるしかないこともあるとか。

実際これを見ないで突破するのはどう考えても不可能ですし、かといって画像のalt属性に正解を書いたりすると認証の意味がなくなってしまうのでこの方法を採用する限り解決は難しそうです。

まとめ

というわけで視覚障害者の方に聞いてみて気づいたことをまとめてみました。

眺めてみると、読み上げツールの果たす役割は一定レベルはありそうです。なるべく上手に読んでもらえるよう工夫はしたいところです。

一方で、そもそも読み上げさえできれば良いという状況でもなさそうだとも感じました。いくら完璧に読み上げられても伝わらないんじゃ意味ないですからね。

よってaria属性をいじるという言ってしまえば小手先の話だけではなく、どのように情報を配置するかというUI設計の段階から想定しなければならないことだと思います。

こういった議論が進んでいる会社さんや、そういった情報を扱うカンファレンスなども探せばある気がするので今後はぜひ触れてみようと思いました。

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